越境ECで押さえておきたい法律遵守ガイド 入門編

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はじめに

近年、越境ECは世界的に注目を集めており、日本の企業にとっても新しい販路拡大のチャンスとなっています。
インターネットを通じて海外のお客さまに商品を届けられる時代になり、既に多くの企業が参入しています。

しかし、その一方で「法律遵守」という大きな課題が待ち構えているのも事実です。
例えば、返品や返金の条件が不明確なまま販売をおこなうと、現地の消費者保護法に違反してしまうおそれがあります。

また、国によっては輸入規制が厳しく、特定の商品は販売自体が禁止されていることもあります。
このような法律上のリスクを理解せずに進めると、せっかくの越境ECビジネスが大きなトラブルに発展しかねません。

本コラムでは、越境ECをはじめる、あるいは既に展開している企業担当者の方に向けて、「消費者保護法」「輸入規制」を中心に、法律遵守の基本をわかりやすく解説します。
さらに、法律遵守をおこないながらWEBマーケティングを活用し、安心感と信頼を高めていく方法についても紹介します。

越境ECと法律遵守の基本

越境ECは、単に海外に商品を届けるだけではなく、国ごとの法律や規制に対応する必要があります。
特に重要なのが「消費者保護法」と「輸入規制」です。

越境ECで発生しやすいトラブル

  • 返品・返金条件を巡る紛争
    国ごとに返品ポリシーやクーリングオフ制度が異なるため、販売者が明確に条件を提示していないと「返金に応じない」「送料負担を巡る争い」といったトラブルになりやすい。特にEUでは返品期間が14日と長いため注意が必要です。
  • 商品表示の不備による誤解
    言語表記や単位の違いから誤解を招くケースがあります。例えば成分表示の省略や不正確な翻訳により、消費者が「安全でない」と判断し、返品・訴訟につながることもあります。各国の表示義務に従った情報提供が不可欠です。
  • 禁止品目の輸出入による没収や罰金
    健康食品、医薬品、動植物製品などは国ごとに輸入規制が異なり、知らずに販売すると通関で没収、罰金、アカウント停止などのリスクがあります。現地法を調べずに販売開始すると、意図せず違法取引となる危険性があります。
  • 通関でのトラブルによる配送遅延
    書類不備や関税計算の誤りによって、税関で荷物がストップし、数週間の遅延につながることがあります。結果として消費者からの苦情や返金要求が増え、ブランドの信頼低下に直結します。事前に必要書類やHSコードを確認することが重要です。

消費者保護法の基本

  • 商品情報の正確な開示
    消費者が誤解なく取引できるよう、価格、送料、支払条件、保証内容などを明確かつ正確に表示する義務があります。不明確な表示や「後から追加費用が発生する」ような形態はトラブルの原因となり、法違反に問われることもあります。

  • 契約解除や返品の権利
    多くの国で「クーリングオフ制度」や返品権が認められています。たとえばEUではオンライン購入者に14日間の契約解除権があり、理由を問わず返品可能です。販売者は返品条件や費用負担について、事前に顧客へ分かりやすく案内する必要があります。

  • 虚偽表示や誇大広告の禁止
    実際には得られない効能や性能をうたう広告、比較広告で他社を不当に貶める行為などは、消費者を欺く行為として厳しく規制されています。特に医薬品や化粧品、健康食品などでは表示違反が多発しており、販売停止や制裁金につながるリスクがあります。

輸入規制の基本

輸入規制は各国が国民の安全や健康、治安を守るために設けており、越境EC事業者にとって必ず確認すべきポイントです。
特に医薬品、食品、化粧品、電化製品は規制が厳しく、違反すれば商品没収や販売停止に加え、高額な罰金や信用失墜のリスクがあります。
例えば、食品では添加物や残留基準が、化粧品では成分や効能表示が細かく定められ、電化製品では各国の安全認証が必須です。
規制は頻繁に改正されるため、事前の調査と最新情報の把握が不可欠です。

越境ECを成功させるには、消費者保護法を理解し、それを実務に落とし込むことが不可欠です。

商品ページでの情報開示

WEBサイトの商品ページには、価格や送料だけでなく、返品条件や保証内容を明確に記載する必要があります。
曖昧な表現はトラブルの元となるため、お客さまが理解しやすい言葉で表示することが重要です。

表示の透明性が信頼につながる

海外のお客さまは、日本企業の商品に対して品質の高さを期待しています。
しかし、取引条件が不透明だと「本当に信頼できるのか」と不安を抱かせてしまいます。
FAQページやチャットサポートを設けて、疑問をすぐに解消できる仕組みを用意しておくと安心感が高まります。

海外の消費者保護の特徴

輸入規制は国ごとに異なり、しかも頻繁に変更されるため、常に最新情報を確認することが重要です。
特に越境ECでは「販売してから問題になる」ケースが多く、事前調査と専門家によるレビューが欠かせません。

  • EU:消費者に有利なルールが多く、特に「クーリングオフ期間」は14日間と長く設定されています。返品送料の負担や返金方法も厳格に定められており、販売者側には明確な表示義務があります。
  • 米国:連邦法に加え州ごとに規制が異なるため、州ごとに返品ポリシーや保証制度を調整する必要があります。例えば、カリフォルニア州は消費者保護が手厚く、広告表示や返品条件への規制が厳しい傾向があります。
  • アジア諸国:中国、韓国、東南アジアではECの急成長に伴い規制が整備されつつあります。例えば、中国では越境ECの通関管理や化粧品の登録制度が頻繁に更新されるため、現地情報のアップデートが欠かせません。

よくある規制対象商品

輸入規制は国ごとに異なり、しかも頻繁に変更されるため、常に最新情報を確認することが重要です。
特に越境ECでは「販売してから問題になる」ケースが多く、事前調査と専門家によるレビューが欠かせません。

    • 医薬品や健康食品:許可がないと販売できない
    • 化粧品:成分表示や安全基準の規制が厳しい
    • 食品:検疫やラベル表示に細かい基準がある
    • 電化製品:現地規格の認証が必要

違反リスク

規制に違反すると、商品没収や罰金だけでなく、販売停止や取引停止にまで発展します。これは企業にとって大きな損失です。

    • 食品・化粧品の輸入規制違反
      日本から健康食品を販売する際、EUでは成分規制に抵触して販売停止や罰金になるケースがあります。
    • 表示義務の不備
      米国では原産国表示や成分表示が義務付けられており、不備があると税関で差し止められる可能性があります。
    • 知的財産権侵害
      他社ブランドに似たデザインやロゴを使用すると、現地で商標権侵害として訴訟リスクが生じます。
    • 個人情報保護規制違反
      EUのGDPRに違反して顧客データを不適切に扱うと、多額の制裁金が科される恐れがあります。

実務でのチェック方法

    • 政府機関の公開データベースを参照する
      各国の政府や関連機関は輸入規制や禁止品目の情報を公開しています。例えば、日本の「税関ホームページ」、米国の「FDAデータベース」、EUの「RAPEX(危険製品情報システム)」などを定期的にチェックすることで最新規制を把握できます。
    • 専門コンサルティングや通関業者と連携する
      法規制は頻繁に改正されるため、自社だけで完全に把握するのは困難です。現地に拠点を持つ専門コンサルタントや通関業者と提携すれば、最新情報をタイムリーに得られるほか、輸出入の可否判断や必要書類の準備もスムーズになります。
    • 販売国ごとの規制リストを社内で管理する
      社内に「販売国別コンプライアンス表」を作成し、食品、化粧品、玩具、電気製品などカテゴリごとの注意点を整理しておくと便利です。担当部署が参照できる形で共有すれば、規制違反のリスクを減らせます。さらに定期的に更新する仕組みを組み込むことで、実効性の高い管理が可能になります。

法律遵守とWEBマーケティングの両立

法律遵守は、単なる義務ではなく「ブランド価値」を高めるための投資です。

コンプライアンスが武器になる

「消費者保護法や輸入規制をきちんと守っている」という姿勢は、単に法令違反を避けるためだけではなく、顧客に対して安心と信頼を提供する大きな価値となります。
例えば、返品ポリシーや送料負担を明確に提示しているサイトは「誠実で透明性のある企業」と受け止められ、初めて購入する顧客の心理的ハードルを下げます。また、輸入規制を遵守し安全基準を満たした商品を扱うことは、品質保証そのものとなり、長期的なリピーター獲得につながります。さらに、法令遵守の取り組みを公開することで「信頼性の高いブランド」として差別化が可能になり、価格競争に巻き込まれず持続的な成長を実現できます。

WEBマーケティングでの活用

    • SEO対策
      越境ECは法規制やリスク対応に関心のある事業者が多いため、「越境EC 法律遵守」「輸入規制 EC」「消費者保護 EC」といった検索ニーズの高いキーワードを記事タイトルや見出し、本文に自然に組み込みます。
      単なる羅列ではなく、読者が疑問を解決できる形で盛り込むことで検索順位向上と流入拡大につながります。
    • コンテンツ作成
      単なる規制解説だけでなく、「返品・返金トラブルの防ぎ方」「通関遅延を避けるチェックリスト」など具体的なトラブル回避方法や事例紹介を記事化することで、読者の実務に役立つ情報発信が可能です。
      こうした実用性の高い記事はシェアされやすく、長期的な集客資産になります。
    • ブランディング
      「法律遵守」「消費者保護」を積極的に打ち出すことで、単なる安さや利便性だけでなく“信頼できる事業者”というブランドイメージを築けます。
      例えば、自社サイトに「コンプライアンス方針」や「法務監修済み記事」を掲載することで、顧客・取引先・投資家に安心感を与え、企業の信頼性向上につながります。

 

 

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