補助金と助成金の違いとは?企業が活用すべきポイント

  • 補助金・助成金

 

はじめに

「補助金」や「助成金」という言葉を耳にしたことがあっても、違いや使い分けがよく分からない。

そう感じている企業担当者の方は、決して少なくありません。特に、予算の限られた中小企業やスタートアップにとって、これらの制度は経営を加速させるための貴重な手段でありながら、「難しそう」「手間がかかる」「どこから手をつければよいか分からない」といった理由で敬遠されがちです。
しかし、近年の日本では、国や自治体による企業支援制度がますます充実しつつあります。特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)、人手不足対策といった社会的課題の解決に向けた動きが加速するなか、企業が取り組む新たな挑戦を後押しする制度が多数登場しています。

本コラムでは、補助金と助成金の違いをわかりやすく整理し、2025年以降のトレンドを見据えた上で、貴社がどのようにこれらの制度を戦略的に活用していくべきかを多角的な視点で解説していきます。
制度をうまく活用すれば、新たなサービスの立ち上げやWEBマーケティングの強化、業務効率化のためのシステム導入など、成長投資の選択肢が大きく広がります。

ぜひ最後までご覧いただき、補助金・助成金活用の第一歩を踏み出すヒントとしてご活用ください。

補助金と助成金の「本質的な違い」とは?

企業にとって外部資金のひとつとなる「補助金」と「助成金」。
どちらも国や自治体などの公的機関から交付される“もらえるお金”という点では共通していますが、その仕組み・目的・申請条件・選考の有無などに明確な違いがあります。

ここでは、それぞれの特徴を整理しながら、どちらを選ぶべきかの判断材料となるポイントを解説します。

補助金とは?:競争的で「選ばれる」資金

補助金は、経済産業省や中小企業庁、地方自治体などが特定の政策目的を達成するために交付する資金です。
例えば、「中小企業のデジタル化を促進する」「地域の雇用創出を支援する」など、何らかの成果を期待して実施されるケースがほとんどです。

【補助金の特徴】
  • 公募制(応募が必要)

  • 審査・選考あり(採択されなければもらえない)

  • 事前に計画を立てて申請する必要がある

  • 後払い方式(実施後に経費の一部が戻ってくる)

  • 募集期間が限定的である(年に数回など)

【代表的な補助金制度】
  • IT導入補助金

  • ものづくり補助金

  • 小規模事業者持続化補助金

【メリットと注意点】

補助金は金額が大きく、プロジェクト推進の強い後押しとなる一方で、採択されるためには精度の高い計画書の作成や事業の魅力的なプレゼンテーションが求められます。また、予算やスケジュール管理も重要な要素となります。

助成金とは?:条件を満たせば「もらえる」資金

一方で助成金は、主に厚生労働省や労働局などが、雇用環境の改善や人材育成といった働く環境の整備を目的として交付する資金です。

【助成金の特徴】
  • 原則として審査なし(条件を満たせば原則受給可能)

  • 随時申請が可能(通年募集の制度が多い)

  • 雇用関連が中心(従業員の採用・教育・環境整備など)

  • 後払い方式(実施後に経費の一部が支給される)

【代表的な助成金制度】
  • キャリアアップ助成金

  • 人材開発支援助成金

  • 両立支援等助成金

【メリットと注意点】

助成金は申請条件を満たせば原則として受給できるため、利用のハードルが低めです。特に人事・労務の取り組みと連動しやすく、制度改正のタイミングで受給対象が拡大することもあります。ただし、申請手続きや提出書類には一定の事務負担が伴います。

比較表で見る違いのポイント

項目 補助金 助成金
公的機関 経済産業省、自治体など 厚生労働省、労働局など
対象 設備投資、新規事業、DXなど 雇用、人材育成、職場改善など
審査の有無 あり(競争的) 原則なし(条件クリア型)
支給タイミング 実施後に一部を補助 実施後に一部を助成
募集期間 限定的(年に数回) 通年が多い
活用の難易度 やや高め(計画・審査が必要) 比較的低め(条件を満たすだけ)

どちらを選ぶべきか?企業の目的から判断する

補助金と助成金、どちらが「よい」というものではありません。重要なのは、貴社の目的と制度の目的が一致しているかどうかです。

  • 新規事業を立ち上げたい → 補助金

  • システム導入で業務を効率化したい → 補助金

  • 従業員のキャリアアップを支援したい → 助成金

  • 育児・介護と仕事の両立支援を強化したい → 助成金

このように、自社の経営課題や今後の戦略に応じて、適切な制度を選ぶことが何より重要です。

2025年の最新トレンド:活用されている注目の制度とは?

補助金や助成金は、その時々の社会情勢や政策方針に応じて、制度設計や重点領域が変化していきます。
2025年現在、企業の経営者や担当者が注目すべきトレンドには、大きく3つのキーワードがあります。

  • デジタル化・DX(デジタルトランスフォーメーション)

  • カーボンニュートラル・脱炭素社会への対応

  • 人材確保・多様な働き方への対応

ここでは、それぞれの領域で活用されている具体的な補助金・助成金制度を紹介しながら、企業にとってどのようなメリットがあるのかを解説します。

1. デジタル化・DX支援:業務効率と売上拡大の両立を目指す

パンデミック以降、企業活動のデジタル化は避けて通れない課題となりました。
DXを推進するための投資を後押しする補助金は、引き続き注目を集めています。

■ IT導入補助金(2025年度版)

目的: 中小企業・小規模事業者の業務効率化や売上拡大を目的に、ITツールの導入を支援する制度。

対象: 会計ソフト、顧客管理(CRM)、予約・決済システム、WEBサイト制作やEC機能導入など。

補助率: 最大2/3(補助上限額:450万円程度まで)

活用例:

  • 顧客管理を紙からクラウドに移行して営業効率を改善

  • オンライン予約機能付きWEBサイトの新規構築

  • RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による事務処理の自動化

ポイント:

IT導入支援事業者との連携が必須であり、事前準備とパートナー選定が重要です。
自社の課題に合わせたツール選定と、補助金対象となる条件を満たしているかの確認がカギになります。

2. 脱炭素・省エネ関連:環境配慮型経営へのシフトを支援

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、企業のエネルギー利用の見直しが加速しています。
国もこの流れを後押しする制度を多数打ち出しており、中小企業にも活用の余地が広がっています。

■ エネルギー使用合理化等事業者支援事業(SII)

目的: 省エネ機器の導入などにより、エネルギー効率の向上を図る中小企業を支援。

対象: 空調設備の高効率化、LED照明化、生産設備の更新など。

補助率: 最大1/2程度(補助上限額:数千万円規模も可能)

活用例:

  • 古い業務用空調を最新の省エネ機に入れ替え

  • 工場の生産ラインにインバーター制御機器を導入

  • 営業所の全照明をLEDに変更

ポイント:

「エネルギー消費量の削減効果」が数値で証明できるかが重要です。
設備投資に連動するため、導入タイミングや機器選定にも戦略性が求められます。

3. 人材確保・働き方支援:助成金による雇用の質向上

人手不足が深刻化する中、労働環境の改善や柔軟な働き方への対応が企業の課題となっています。
助成金を通じて、人材の確保・定着を促進する制度が整備されています。

■ キャリアアップ助成金

目的: 非正規雇用労働者のキャリア形成支援や、正社員化を促進する制度。

対象: 有期雇用契約の社員を正規雇用に転換する、スキルアップ研修を実施する、評価制度を整備するなど。

支給額: 正社員化1人あたり最大57万円(2025年度)など複数コースあり

活用例:

  • パート社員を正社員に登用し、定着率が向上

  • 在宅勤務制度を整備し、多様な人材の採用が可能に

  • 新人研修を実施し、生産性向上と満足度向上を両立

ポイント:

条件を満たせば原則受給できるため、制度の内容を正確に把握し、就業規則や契約書の整備などを計画的におこなうことが求められます。

補助金・助成金の活用トレンドまとめ(2025年版)

分野 代表的制度名 活用目的
デジタル化 IT導入補助金 業務効率化・WEBサイト改善等
脱炭素 エネルギー使用合理化支援事業 省エネ投資・環境配慮経営
人材支援 キャリアアップ助成金 雇用環境改善・人材確保

実務における視点:社内でどう活かすか?

トレンドに合った制度を選ぶだけでなく、企業戦略と制度活用を結び付けることが成果を生む鍵となります。

  • 経営計画や中期目標に制度を組み込む

  • 支援制度を社内に共有し、関係部署と連携する

  • 外部の専門家(行政書士・社労士・税理士)と連携することで手続きを効率化

補助金・助成金は単なる“資金”ではなく、企業の変革を後押しするツールです。

短期的なコスト削減だけでなく、中長期的な価値創造の視点で取り入れていくことが、これからの企業経営に求められています。

制度を「使いこなす」ための3つのポイント

補助金・助成金は、制度を知っているだけでは効果的に活用できません。
実際に受給までたどり着き、企業の成長に役立てるには、「情報収集」「計画策定」「実行と管理」の3つの視点が重要です。

この章では、補助金・助成金を使いこなすために押さえておくべき実務的なポイントを、具体例とともにご紹介します。

1. タイミングと制度選定:「最新情報」を見逃さない

多くの補助金・助成金は、期間限定で公募されており、年度ごとに内容や条件が変わることがあります。
そのため、まず重要なのは、正確な情報をタイムリーに把握することです。

■ 情報収集のコツ
  • 中小企業庁、厚生労働省、地方自治体のWEBサイトを定期的に確認

  • 商工会議所や中小企業支援センターのメールマガジンを購読

  • 支援制度に詳しい専門家(社労士・行政書士など)と関係を築く

■ よくある失敗例

「知ったときには募集が終わっていた」
「自社の業種は対象外だった」

情報にアンテナを張ることで、チャンスを逃さずに活用することができます。
年度初め(4月〜5月)は特に新制度が集中する時期であり、注意が必要です。

2. 事業計画・設計の重要性:成果が見える「ストーリー」を描く

補助金の多くは、申請時に提出する事業計画書が審査対象となります。
審査員にとって分かりやすく、説得力のある計画を提出することが、採択のカギとなります。

■ 計画書に求められるポイント
  • 「課題→解決策→期待効果」の論理構成

  • 現状分析やマーケット理解の明確化

  • 数値的な目標(売上増加率、コスト削減効果など)

  • 持続性と将来展望(補助期間終了後の展開)

■ 補助金は「未来への投資」のために使う

例えば、ある製造業が「デジタル化による生産性向上」をテーマにIT導入補助金を申請した場合、次のような視点が盛り込まれていると効果的です。

「従来の工程では1日に100個だった製品を、RPA導入により1.5倍に改善し、年間で720時間の工数削減が見込まれる」

このように、定量的かつ戦略的な視点で計画を描くことで、審査通過の可能性が高まります。

3. 実行・管理と報告:受給後の「運用」まで見据える

制度の活用において見落とされがちなのが、受給後の実行管理や報告義務です。
補助金・助成金は、適切な使途・手続き・実績報告が求められるため、書類の整備やプロジェクト進行の体制づくりが欠かせません。

■ 実行段階での注意点
  • 支出記録の保存(領収書・発注書・納品書など)

  • 進捗状況の記録と定期報告

  • 事後の効果報告やアンケートの提出

■ よくある失敗例

「領収書を紛失して補助対象から外れた」
「実績報告が不備で、支給が遅延した」

これらのトラブルを防ぐためには、社内に補助金・助成金を担当する窓口やチームを設けたり、外部の支援機関と連携することが有効です。

補助金・助成金を「コスト削減の道具」ではなく「経営のレバレッジ」として使う

補助金・助成金は、単なる資金援助にとどまらず、企業にとっての変革のきっかけになる存在です。
制度を使いこなすことで、新しい取り組みを正当化できる社内の空気が生まれ、経営層から現場まで一体感が生まれるという副次的な効果もあります。

まとめ:活用の成否を分ける3つのステップ

ステップ ポイント
情報収集 最新の制度を定期的にチェックする
計画策定 数値と根拠に基づいた説得力ある設計を
実行と報告 書類とプロジェクトの整備を怠らない

最後に

補助金と助成金の違いを理解し、自社の経営戦略に合った制度を選んで活用することは、これからの企業経営において欠かせないスキルのひとつです。
「制度の内容が分かりにくい」「どれを選べばよいのか迷う」「申請が面倒そう」と感じている企業担当者の方も、まずは現在の課題を明確にすることからはじめてみてください。

目的と制度が合致すれば、補助金や助成金は貴社のチャレンジを大きく後押ししてくれます。
特に2025年は、DX、脱炭素、人材確保といったテーマに対する支援が強化されており、WEBサイトの改善、業務の自動化、働き方の多様化への対応など、実務に直結する制度が充実しています。
また、制度は日々更新されるため、「一度使って終わり」ではなく、継続的に情報収集をおこない、自社の成長ステージに応じた制度を選んでいく姿勢が重要です。

補助金・助成金をうまく活用することで、貴社の成長スピードは飛躍的に高まります。
まずは情報収集からでも構いません。商工会議所や専門家へのお問い合わせなど、小さな一歩が未来の経営の基盤をつくります。
ぜひ、本コラムをきっかけに制度活用の第一歩を踏み出してみてください。

 

 

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